トライアンフ』(Triumph)は、アメリカ合衆国の兄弟ボーカル・グループ、ジャクソンズが1980年に発表したスタジオ・アルバム。「ジャクソン5」から「ジャクソンズ」へ改名してからは4作目に当たる。

背景

前スタジオ・アルバム『デスティニー〜今夜はブギー・ナイト』(1978年)に続くセルフ・プロデュース作品で、キーボードを担当したグレッグ・フィリンゲインズが共同プロデューサーとしてクレジットされた。9曲中6曲ではマイケルが単独でリード・ボーカルを取り、「キャン・ユー・フィール・イット」ではランディ、「ギヴ・イット・アップ」ではマーロン、「ワンダリング・フー」ではジャッキーがマイケルとリード・ボーカルのパートを分け合った。

大部分の曲では、前作に引き続きネイサン・ワッツがベースを弾いた。また、「エヴリバディ」にソングライティングとベースで参加したマイケル・マッキニーは、ワッツの推薦でジャクソンズのツアー・ベーシストに抜擢される。なお、クレジットには記載されていないが、ジェームス・ジェマーソン・ジュニア(ジャクソン5時代の録音に参加したベーシスト、ジェームス・ジェマーソンの息子)も本作のセッションでベースを弾いたという。

「ハートブレイク・ホテル」はエルヴィス・プレスリーの同名異曲とは無関係で、所属レーベルのエピック・レコードのスタッフがクレームを恐れたことから、後に「This Place Hotel」と改題された。マイケルは1988年の自叙伝『ムーンウォーカー』でこの改題問題について「このタイトルは自分で考え付いたものであり、この曲を書いたとき、僕は他のどのアーティストのことも考えなかった」とし、レコード会社が強制的に曲名を改題したことについて「エルヴィスは人種に関係なく音楽業界に重要なアーティストだが、影響を受けたわけではない」と結んだ。この曲のレコーディングには、ジャクソン・ファミリーの1人ラトーヤ・ジャクソンも参加している。

反響・評価

母国アメリカではBillboard 200で10位に達し、『ビルボード』のR&Bアルバム・チャートでは、ジャクソンズ名義では初となる1位獲得を果たした。本作はニュージーランドでも大ヒットし、11週トップ50入り(うち4週トップ10入り)して最高8位を記録。

全英アルバムチャートでは16週チャート入りして最高13位に達し、ジャクソンズ名義では初の全英トップ20アルバムとなった。日本では、ジャクソンズ名義では初めてオリコンLPチャートでトップ100入りを果たした。

アンディ・ケルマンはオールミュージックにおいて5点満点中4点を付け、収録曲「キャン・ユー・フィール・イット」に関して「この曲の超自然的でスケールの大きなリズムは、単なるシングル曲という小さなスケールに収まらず、むしろ花火の演目のフィナーレ的だ」と評している。また、『ガーディアン』紙は2007年に選出した「死ぬまでに聴くべきアルバム1000」の一つとして本作を挙げている。

ツアー

ジャクソンズは1981年7月8日から9月26日にかけて、本作のプロモーション・ツアーで北米の36都市を回り、550万ドルの収益を得た。このツアーでは、当時「Love on a Two-Way Street」をヒットさせていた歌手ステーシー・ラティソーがオープニングアクトを務めた。

「トライアンフ・ツアー」のライヴ録音は、1981年にライヴ・アルバム『ザ・ベスト・ライヴ』として発表された。

収録曲

  1. キャン・ユー・フィール・イット - "Can You Feel It" (Michael Jackson, Jackie Jackson) - 5:59
  2. マイ・ラヴリー・ワン - "Lovely One" (M. Jackson, Randy Jackson) - 4:51
  3. ユア・ウェイズ - "Your Ways" (J. Jackson) - 4:31
  4. エヴリバディ - "Everybody" (M. Jackson, Tito Jackson, Mike McKinney) - 5:01
  5. ハートブレイク・ホテル - "This Place Hotel" (M. Jackson) - 5:44
  6. タイム・ウェイツ・フォー・ノー・ワン(時は誰も待たない) - "Time Waits for No One" (J. Jackson, R. Jackson) - 3:24
  7. ウォーク・ライト・ナウ - "Walk Right Now" (M. Jackson, J. Jackson, R. Jackson) - 6:28
  8. ギヴ・イット・アップ - "Give It Up" (M. Jackson, R. Jackson) - 4:19
  9. ワンダリング・フー - "Wondering Who" (J. Jackson, R. Jackson) - 4:18

2008年リマスターCDボーナス・トラック

  1. ハートブレイク・ホテル(シングル・ヴァージョン) - "This Place Hotel (single version)" (M. Jackson) - 4:52
  2. ウォーク・ライト・ナウ(ディスコ・ミックス) - "Walk Right Now (John Luongo Disco Mix)" (M. Jackson, J. Jackson, R. Jackson) - 7:36
  3. ウォーク・ライト・ナウ(インストゥルメンタル・ミックス) - "Walk Right Now (John Luongo Instrumental Mix)" (M. Jackson, J. Jackson, R. Jackson) - 6:58

シングル

本作からのシングルのチャート最高順位を示す。

参加ミュージシャン

  • マイケル・ジャクソン - リード・ボーカル(all songs)、バッキング・ボーカル、パーカッション、アレンジ
  • ティト・ジャクソン - バッキング・ボーカル、ギター、パーカッション
  • マーロン・ジャクソン - リード・ボーカル(#8)、バッキング・ボーカル、パーカッション、ティンパニ
  • ジャッキー・ジャクソン - リード・ボーカル(#9)、バッキング・ボーカル、パーカッション、アレンジ
  • ランディ・ジャクソン - リード・ボーカル(#1)、バッキング・ボーカル、パーカッション、アレンジ

アディショナル・ミュージシャン

  • グレッグ・フィリンゲインズ - キーボード(all songs)、シンセサイザー(#7)
  • ロニー・フォスター - キーボード(#1, #9)
  • デヴィッド・ウィリアムス - ギター(#1, #2, #3, #4, #5, #7, #8, #9)
  • マイケル・センベロ - ギター(#2, #5, #8)
  • フィル・アップチャーチ - ギター(#3)
  • ポール・ジャクソン・ジュニア - ギター(#5)
  • グレッグ・ポリー - ギター(#6)
  • マイケル・ボディッカー - シンセサイザー(#7, #9)
  • ウェブスター・ルイス - シンセサイザー(#7)
  • ネイサン・ワッツ - ベース(#1, #2, #3, #5, #7)
  • マイケル・マッキニー - ベース(#4)
  • クレイ・ドレイトン - ベース(#6, #8)
  • オリー・ブラウン - ドラムス(#1, #2, #4, #5, #6, #7, #8, #9)
  • パウリーニョ・ダ・コスタ - パーカッション(#2, #3, #5, #6, #7, #8)
  • レニー・カストロ - パーカッション(#9)
  • ゲイリー・コールマン - ヴィブラフォン(#1, #7, #8)
  • ジェリー・ヘイ - ホーン・セクション(#4, #7)、ホーン・アレンジ(#4)、プレリュード・アレンジ(#5)
  • キム・ハッチクロフト - ホーン・セクション(#4, #7)
  • ビル・ライヒェンバッハ - ホーン・セクション(#4, #7)
  • ラリー・ホール - ホーン・セクション(#4, #7)
  • ゲイリー・ハービグ - フルート(#7)
  • ステファニー・スプリル - クワイア・ディレクター(#1)、バッキング・ボーカル(#5)
  • マキシン・ウィラード・ウォーターズ - バッキング・ボーカル(#5)
  • ジュリア・ティルマン・ウォーターズ - バッキング・ボーカル(#5)
  • ラトーヤ・ジャクソン - スクリーム(#5)
  • ジーン・コルソ - サウンド・エフェクト(#5)
  • トム・トム84 - ストリングス・アレンジ(#1)、アレンジ(#2, #3)、ホーン・アレンジ(#5)
  • ジェリー・ピーターズ - ストリングス・アレンジ(#6, #8)

脚注

注釈

出典


Bee Gees Esp (Vinyl Records, LP, CD) on CDandLP

駿河屋 タージ・ジャクソン / トラジディ・アンド・トライアンフ(洋楽)

ジャクソンズ / トライアンフ CDJournal

Kendrick LAMAR DAMN vinyl at Juno Records.

【紙ジャケ】ジャクソンズ トライアンフ by メルカリ