『必殺からくり人・血風編』(ひっさつからくりにん・けっぷうへん)は1976年10月29日から1977年1月14日まで、NETテレビ(現・テレビ朝日)系で毎週金曜日22:00 - 22:54に放送された、朝日放送と松竹(京都映画撮影所、現・松竹撮影所)共同製作のテレビ時代劇。全11話。主演は山﨑努。
必殺シリーズの第9作、『必殺からくり人』シリーズの第2作である。
概要
本作は、前作『必殺からくり人』の後に製作される予定だった『新・必殺仕置人』が、中村せん役の菅井きんとの交渉難航により遅延。さらに、中村主水役の藤田まことも『必殺仕置屋稼業』『必殺仕業人』と二作続けて登板したにもかかわらず、本編のクレジットタイトルでは『必殺仕置人』『暗闇仕留人』と同様に最後(トメ)に回されたことに抗議し、『新・仕置人』でもトメに回されるなら、必殺シリーズの降板を辞さぬ構えを見せていた。制作スタッフが折れる形で、藤田の名前をキャスト ロールで先頭に記載し、主水を主人公とした。
山崎努の出演スケジュールを一年分確保している関係で、山崎を中心とした別作品の企画を立て、制作を開始した。山崎努が本作と次作『新・仕置人』に連続出演しているのは、このためである。
幕末、官軍が江戸へ侵攻しようとする寸前の時期で、テレビ シリーズでは「現代」に最も近い時代が舞台となっている。オープニング映像は画面上半分に「からくり人」メンバー全員が写ったモノクロ写真と下半分には赤い墨で「命」と書く場面の映像が使用された。
本作で使用された楽曲は主題歌も含め、旧作からの流用で、新曲は使用されていない。
あらすじ
薩長の官軍が倒幕のために攻め入ろうとしている、幕末の江戸が舞台。表向きは品川の旅籠を営む、白浜屋おりくが率いる直次郎、新之介、おいねたちと、彼らに命を救われた自らを土左ヱ門と名乗る男を加えた「からくり人」たちが、世の中の犠牲にされた弱い者たちの恨みを晴らしていく。
タイトルに「からくり人」の名を冠してはいるが、前作『必殺からくり人』とのキャラクター、設定との関連性は無い。
登場人物
からくり人
- 土左ヱ門(土佐ヱ門) - 山﨑努
- 薩摩藩の密偵で、表の顔を隠すための隠れ蓑として、からくり人に加入する。普段は白浜屋の下働きとして、雑用などを行う。
- 性格は武士らしくなく、ざっくばらんでサバサバしている。「土左ヱ門」という名前は仮の名前。本名は不詳で、薩摩の人間からも名前を呼ばれたことはない。榎本武揚の暗殺任務を実行しようとしたが、未遂に終わっている(第2話)。
- 非情さを要求される密偵という立場ながら官軍の専横ぶりに義憤を抱くなど、人間としての義侠心は強い。
- 直次郎 - 浜畑賢吉
- 表の顔は玉転がし(女衒の一種)。捨て子だった彼を拾って育てたのは女郎だったため、女郎には優しいが反面、その仲間の女郎から性的虐待を受けたために女嫌いでもある(第2話)。
- 最終話で、土左ヱ門への反発や表稼業が立ち行かなくなった事で、かつての友人・仙吉の甘言に乗せられた結果罠に陥り裏稼業が発覚。土左ヱ門との決着の前に身の潔白を証明しようと仙吉と対峙した際に、通じていた捕方達と大乱闘になり深手を負いおりく宛ての遺書を残しつつ息絶える。
- 遺書にはおりくに対して、密かに想いを寄せていた事が書かれており、その思いを知った土左ヱ門は彼の亡骸をおりくの着物に包み、川に葬った。
- 新之介 - ピーター
- 表の顔は寺の小姓で、女の様な美貌を持つ。素顔は河内弁で啖呵を切る、男っぽい性格。持ち前の美貌で悪人をおびき出すなどもしている。第7話でおいねに想いを寄せていた事が判明するが、おいねは他の男に身請けされて白浜屋を離れたため想いを伝える事はなかった。
- 最終話で、直次郎の死をきっかけにからくり人は解散する事になるが、新之介は解散後も土左ヱ門と共に行動をしたいと申し出るも、土左ヱ門から「俺と一緒にいたら地獄に落ちるぞ」と諭されて別々の道を歩む事をすすめられる。
- おいね - 吉田日出子
- おりくが営む、旅籠「白浜屋」の従業員。
- 第7話で身請けされ、貯めた金を持って、白浜屋を出ていくが身請けした男が悪人で、男がからくり人に仕置された後は消息不明となる。
- おりく - 草笛光子
- 表の顔は旅籠「白濱屋」の女将。からくり人の元締で、先代が急死した事により、元締を継承した。佐久洋三とは元許嫁(第5話)。
その他
- 芳太郎 - 柳沢真一(現・柳澤愼一)
- おまき - 木島幸
- おまん - 西川ひかる
- おたね - 小林トシ江
- 長吉 - 黛康太郎
- 女郎 - 河野ひとみ、岡田恵子
- 熊谷隊長 - 桑山正一
ゲスト
殺し技
- 土左ヱ門(土佐ヱ門)
- 拳銃とライフル銃(ウィンチェスターライフル)を主に使い、悪人の息の音が止まるまで顔色一つ変えずに撃ち殺す。匕首を使い、悪人の急所を突き刺す。
- 専門の殺し屋ではないためか、通常の必殺シリーズの殺し屋の様な決まった道具や殺し方に、こだわりを持たない。
- 直次郎
- 悪人の首を足の親指と人差し指で挟みながら喉笛を砕く。足の親指を喉笛に突き刺し、悪人の息の根を止める、自身の足で悪人を蹴るなどして仕留める、悪人を脚力で投げ飛ばし、脳天から落として首を折るなどのバリエーションが多い。
- 足の指を曲げる際に関節を鳴らす効果音が鳴る。
- 新之介
- 口に含んだ針を飛ばして、悪人の首筋に浅く突き刺し、突き刺した針を指で深く押し込み、とどめを刺す。
- おいね
- 鎌を使うが、殺しの描写は劇中では一切 無かった。
おりくは元締だが、(この時点での)歴代の元締では殺しはせず、メンバーの見届け役に徹していた。
スタッフ
- 制作 - 山内久司、仲川利久(朝日放送)、櫻井洋三(松竹)
- 脚本 - 村尾昭、安倍徹郎、神代辰巳、保利吉紀、中村勝行、大和屋竺、播磨幸治、貞永方久、水原秋人、工藤栄一
- 音楽 - 平尾昌晃(編曲 - 竜崎孝路)
- ナレーター
- オープニング、劇中 - 芥川隆行
- 次回予告 - 野島一郎
- オープニング作 - 早坂暁
- 監督 - 蔵原惟繕、工藤栄一、貞永方久、渡邊祐介、松野宏軌
- 制作協力 - 京都映画撮影所(現・松竹撮影所)
- 制作 - 朝日放送、松竹
主題歌
- 川谷拓三「負犬の唄」(キャニオンレコード(現・ポニーキャニオン))
- 作詞:荒木一郎、作曲:平尾昌晃、編曲:竜崎孝路
- 歌は前作に引き続き使用されているが、本作では2番が流れている。
放送日程
- 強調部は、サブタイトルのフォーマット。サブタイトル画面上では強調分が紅色で表示される。
ネット局
- 系列は放送当時のもの。
脚注
前後番組
外部リンク
- 必殺からくり人・血風編 - テレ朝動画




