ペーネロペー(古希: Πηνελόπη、古代ギリシア語ラテン翻字: Pēnelópē)は、ギリシア神話に登場する女性である。ホメーロスの叙事詩『オデュッセイア』ではペーネロペイア(古希: Πηνελόπεια、古代ギリシア語ラテン翻字: Pēnelópeia)の名で登場する。長母音を省略してペネロペ、ペネロペイア、また現在のギリシアではピネロピとも発音される。
イタケーの王、オデュッセウスの妻。イーカリオスと水のニュンペーであるペリボイアの娘で、トアース、ダマシッポス、イメウシオス、アレーテース、ペリレオース、イプティーメーと兄弟。父親はイーカディオス、母親はドーロドケーあるいはアステロディアーとする異説がある。オデュッセウスとの間に息子テーレマコスとプトリポルテース(ポリポルテース)をもうけた。美女として知られる。
神話
オデュッセウスがアカイア勢のトロイア遠征に加わりイタケーを去ったのち、ペーネロペーはイタケーにとどまって留守を守り、夫が後見として残したメントールに助けられながら息子テーレマコスを育てた。しかし夫のオデュッセウスがトロイア戦争終結後、イタケーへ帰還中に行方不明になってしまったことが知れると、ペーネロペーの美しさにひかれた108人の求婚者たちが押しかけた。このときペーネロペーは変装したり隠れたりと最後まで夫に対する義務を果たしたことから、しばしば貞淑の象徴としてみられる。しかし物語の上ではペーネロペーは一度は再婚をやむをえないものとして選択したようにとれる逸話もあるため、この点については議論がある。
『オデュッセイア』 によれば、いつまでも求婚者たちから逃げるペーネロペーに業を煮やして結婚を迫るようになってくると、ペーネロペーは一計を案じる。それは亡くなった舅ラーエルテースの葬儀に着るための喪服が織りあがったとき、求婚者たちのうちひとりを選ぶという。求婚者たちはこのペーネロペーの話を信じて待つが、実はペーネロペーは昼に織った布を夜になると解いていて、いつまでも喪服は出来上がらないようになっていた。しかしペーネロペーのこのたくらみは結局3年後に露見してしまう。これに激怒した求婚者たちの執拗な追及によって逃げ場がなくなったペーネロペーは、とうとう王宮にあったオデュッセウスの強弓を引くことができたものと結婚すると宣言してしまう。一方でこの時、トロイア戦争とその後の漂流と冒険の末、20年かかってイタケーに帰還できたオデュッセウスは、ペーネロペーに言い寄る求婚者たちによってイタケーが荒らされているのを見て、アテーナーの魔法でみすぼらしい老人に変装しつつ求婚者たちに近づき、最後にはこの強弓を引き正体を現して求婚者たちを撃ち殺した、とされている。このときペーネロペーが夫に気がついていたかどうかについては解釈が分かれている。
オデュッセウスは、求婚者たちを撃ち殺したあとみすぼらしい老人の変装を解き、妻ペーネロペーに正体を表すが、ペーネロペーは他の神話にもあるようにこの夫が変装した神である可能性を恐れ、帰ってきたのが本物のオデュッセウスであるかを夫婦のベッドを使い試した。
系図
脚注
参考文献
- アポロドーロス『ギリシア神話』高津春繁訳、岩波文庫(1953年)
- 『オデュッセイア/アルゴナウティカ』松平千秋・岡道男訳、講談社(1982年)
- 高津春繁『ギリシア・ローマ神話辞典』、岩波書店(1960年)



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